2022/09/27

TOMIX DE10をコアレスモーター化してみた


もともと鉄道模型の低速運転は自分の興味が向いているところなのですが、効果の大きなところでモータを交換してしまうという方法があります。

普通の鉄道模型で使われているのは鉄心(コア)のあるモータで、コアが永久磁石に吸い付く力でカクカクしてしまいます。これをコギングというのですが、コギングをなくすためにコアを斜めにするスキューをつけて対策したりしますが、そもそも根本的にコアがなければ永久磁石に吸い付くこともないので完全なるコギングレスにすることができます。

それがコアレスモータです。コアレスモータはコアがないためコイルを巻きにくく、また磁束を集中させることができないためトルクを出しにくいという難点があります。それも最近では製造機械や磁石の性能が上がったことによりかなり改善し、格安のおもちゃなどにも利用されるようになりました。

鉄道模型でも、KATOの蒸気機関車やGMなどではコアレスモータを採用することでスムースな運転ができることを売りにしています。 ただ、コアレスモータはコイルのインダクタンスが低く、一部のPWMパワーパックを使うと発熱し易いという問題もあります。一方でインダクタンスが低いことから火花が飛び散りにくくなる効果もあり、車輪が汚れにくくなることも期待できます。

そんなこんなで低速運転するにはコアレスモータを使うことが一つの根本的解決方法となるわけですが、採用しているモデルは一部に限られているというのが現状です。

自分はモータをガシガシ回すロボット屋が本業なので、せっかくなのでモータを入れ替えて車両性能をあげてやることにしてみました。

実はNゲージ用のコアレスモータはワールド工芸が汎用モータとして販売していたりしますが、サイズ展開は少ないのでそのままぽんと置き換えられるようなものでもありません。また、Nゲージで一般的なモータは小判型というか円を2面切り取った断面形状をしていて、コアレスは必ず円筒形になるという違いもあります。

今回コアレス化する対象に選んだのはTOMIXのDE10(品番2223)です。単に中古で安く手に入れたというのもありますが、入換機なので最高速度を落としても不自然じゃなく、連結遊びをするなら低速が効くことは嬉しいです。

最近のTOMIX製品はM-9モータもしくはM-13モータを使っているものがほとんどで、これらはどちらも外形が同じでシャフトの太さが1mmと1.5mmという違いがあるだけになっていることもあり、DE10でのモータ交換が成功すれば他の車種にも適用できるだろうという皮算用もあります。

さて、前置きが長くなりましたが、今回交換したモータはこちらです。

左がコアレスモータ、右がもともと入っていたM-9モータです(モータからジョイント部品とフライホイールは外してあります)。M-9モータは平行面が10mm、円形部分が直径12mm、メインのボディ長が15mmというサイズだったので、コアレスモータは直径が10mm、長さが15mmのものを選びました。シャフト長についてはコアレスモータのほうが長かったので、リュータでカットして使うことにしました。

できるだけ車両側に手を加えずにこのコアレスモータを搭載できるように3Dプリンタでスペーサをプリントしました。


前述の通り、もとのモータの平行面とコアレスモータの直径を揃えてあるので、太っている部分の肉増しと、エンドベル側のボスを作っています。コアレスモータ側がわずかに短くできているのでワンピースで部品が用意できて良かったです。また、端子位置もほとんど同じで、特段変更する必要もありませんでした。

モータをはめて比べてみるとこんな感じになります(ボケ写真しかなかった…)。

実はケース側のボスサイズも違い、ここで車両側のマウントが拘束しているため、そこもそろえるスペーサを別途プリントしました。

もともとついていたモータマウントに載せて、フライホイールとジョイントを入れ替えたのがこちら。



実際にはここにさらにへの字の端子がつくのですが、車両下側の端子がきつくなり、上側の端子がゆるくなるので適宜曲げグセをつけて車両に組み込むときにちゃんとモータの端子にふれるようにする必要がありました。

これを車両に組み込んだのがこちら。


ここまで来ると見た目ではもとのモータと大差なく、簡単に組み込むことができました。

この状態で早速走行テストさせてみたので、せっかくなので動画にしてみました。

後半部分が実走行している様子になりますが、あまりにも遅く走行できたので、目視でわかりやすくするために後からフライホイールにマジックで線を引いてモータが回っているのがわかりやすくしてみました。

動画内でもコメントしていますが、低速走行するにはKATOのスタンダードSXがぴか一の性能です。また、PWM周期も短くコアレスモータにも安心な仕様になっているため、非常におすすめです。さすが純正でコアレスモータ車をいくつも出しているKATOだけありますね。

自作パワーパックもいくつか作ってますが、単純なPWM出力タイプである限りはスタンダードSXと性能が大差無いので、サイズを小さくするとか、実車感のある操作性にするとかでもない限りは自作する意味は無いと思ってます。

TOMIXのN-600も持っているのですがまだテストできてません。ただ、N-600は普通のPWM出力なので走行自体は問題ないものの、ここまで低速が効くことはないと思われます。

というわけで、 当初の目標であるDE10の低速化という意味では大成功といって良いでしょう。

本当はTOMIXのEF210もやろうと思ったのですが、ジャンクで買った車両が古すぎてM-9、M-13モータではなく置き換えできませんでした…

いい感じの中古車両を手に入れたらまた交換したいと思います。

で…、このモータ、BOOTHとかで販売したら需要ありますかね。実は今回は中国のモータメーカから直接取り引きで小数購入したのですが、大量購入すればシャフト寸法を完全にM-9、M-13モータ互換に特注できるので、ちょっとやってみたいなと思っています。気になる人がいればコメントかTwitterにでも連絡してもらえれば嬉しいです。


※追記

N-600で動かしてみたら、予想以上に静かになっていたので比較として手持ちの他のDE10と音量比較してみました。


 

1 件のコメント:

  1. 型番 メーカー 販売会社を
    ご指導下さい、
    アマチュア無線3級ですから
    多少 腕あり

    返信削除

センサレス速度制御モータドライバMD-DC01

 DCブラシ付きモータをセンサレスで速度制御が可能なモータドライブ基板MD-DC01を作りました。 C102にて頒布した同人誌の内容を簡単に実験したり、実用するための基板です。秋月C基板サイズに機能をギュッと押し込みました。コネクタ以外の部品実装済みでC103にて5000円で頒布...