2023/10/06

KATO HOユニトラックの高架化を考える(2)

前回から集中的にHOユニトラックの高架化について取り組んでいます。

前回の最後には3Dプリントで強度出すのはしんどいなー、となって終わったわけですが、紆余曲折がありそもそも3Dプリントじゃ無理!という結論になりました。

というのも、大体の模型を安全に登り降りさせるには勾配を30‰程度に収める必要があると言われているのですが、立体交差できる100mm程度まで高低差を得ようと思うと全長が3.3m必要になるわけで、ユニトラックの標準レールであるS246換算では13.5本必要となります。緩和勾配も考えると15本欲しくなります。これで複線分揃えようと思うと、S246が60本必要でそれだけの数を橋梁パーツも揃えないといけないわけです。仮に単価が500円くらいで作れたとしてもそれだけで3万円となかなかのお値段です。

そんなわけで、現実的に量産しやすい方法に考えをシフトし、MDFのレーザーカットで橋梁をつくり、橋脚は3Dプリントするという方針に切り替えました。

試作一号がこちら。

橋梁は中国のレーザーカットサービスを利用する前提で考え国内ではあんまり流通がないですがMDFは3mm厚のものを選択。先述の通り、最終的にはS246が60本分が必要になるため軽量化を目的に大穴を開けています。そこにレールのズレ止めを複数配置する構成です。

橋脚とは端部の角穴で接続する形にしました。NのKATOやTOMIXのように橋梁同士で連結する構造も考えましたが、なかなかMDF単体では難しいのと、方向性が出てしまうと組み立てるときに不便になると考え、橋梁部品では接続を一切しないものとしました。また、ユニトラックの長さに若干誤差があるため、仮に橋梁部品がかっちり接続できてしまうとその誤差を吸収することができないという懸念もあります。


この試作品の上を手持ちで一番重いはずのTOMIXのEF210を転がしてみるとこんな感じに結構しなってしまうことが判明。お座敷運転で利用すること、レイアウトの自由度を上げることを目的にレールと橋梁は固定していないのですが、それもあって強度が不足しているようです。



そこで橋梁の基本構成を変更し、全長に渡って梁を入れる構成にしました。これで縦方向の強度を得る算段です。また、この構成変更のおかげでパーツ数が3つに押さおることができたので組み立ても楽になる副産物がありました。


実際に車両を乗せても橋梁パーツ部の歪はせいぜい0.5mm程度に収まるようになり、強度としては十分なものを確保できたようです。
当初の3Dプリントで作っていたものと比べるとリアル感は薄れた構造になってしまいましたが、走らせて楽しい、という目的から言えると足回りがずっと見えないのも模型的には面白くないし、なにより60本収納することを考えるとこのくらいでないと運搬が大変ということもあり、今回はこの構成でいくことにしました。

これで試作としてはOKということで拡張を考えることとしました。

これをこの高架モジュールがほしいと声をかけてくれた @setuna_orz さんに見てもらったところ、登り降りでS246が30本分、さらにはその間にトラス橋が入るというレイアウトになり、とてもじゃないけどストレートが長すぎて大変だということになり結局カーブモジュールも作ることに。勾配区間でカーブするとねじりが入るため、車両によってはかなり厳しいんではないか…と想像していたのですが、これがR730程度なら意外と大丈夫そうという肌感から得られたので追加で作ることにしました。

R730とR790の複線仕様を基本と考え、この二種で構成。これらの曲線であればS246よりも弧長が長いことから勾配は直線区間よりもゆるくなり、条件としては優しくなるはずです。
実際、手持ちの車両ではどれも問題なく走行できることがわかりました。
逆にR790は径間が伸びてしまうことが心配でしたが、天賞堂のダイキャスト蒸気を乗せても0.6mm程度しかたわまない構成を作ることができたのでこちらもOKの判断としました。

こうして作った高架モジュールを @setuna_orz さんの主宰する運転会「雪奈會」に持ち込んで実際にレイアウトに組み込んでもらうことにしました。
初日にはカーブ橋梁の数が揃わなかったので、もともと雪奈會で使っていた橋脚パーツを使って180度折り返して直線で登り降りさせていました。写真はどちらも初日のものでその構成です。橋梁パーツは雑に端だけグレーにスプレー塗装し、橋脚はもともとグレーのフィラメントでプリントしたのですが、コレが意外とちゃんとして見えて悪くない印象です。

二日目には橋梁パーツがそろったので180°カーブを勾配で構成するレイアウトに変更。色々な人に色々な車両でテストしてもらいましたが、意外と最近の市販モデルであればプラでもブラスでも問題なくカーブ勾配も登るということがわかりました。
これならもう普通にレイアウトに組み込んでしまっても問題なさそうで、今後の雪奈會のレイアウト自由度が上がりそうです。

今回、かなりいい感じに高架ユニットが構成できたので、もう少し数を作ったり、ポイントレールを載せられるようにしたりと拡張を進めていきたいと思っています。


最後にこの高架区間を通る車両目線の動画を載せておきます。


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