2022/10/19

ポポンデッタのエネルギーチャージャー付LED室内灯の電流特性

買い逃していた ポポンデッタの浅草線5500形を中古で入手してしまったので室内灯をつけようかと思ってポポンデッタの室内灯を揃えました。

で、ポポンデッタの含め最近個人勢がよく作っているコンデンサもりもりの室内灯ってパルス電流どんだけ食うんだ?ってのがずっと気になっていたので測ってみました。

計測はこんな感じで、パワーパックからのフィーダをみのむしクリップで直接室内灯に繋いでいます。みのむしクリップのケーブルが若干細くて頼りないですが、レールから供給するのに比べたら抵抗値は低いものと想定(面倒だから測り比べては無いです)。また、モータ他の抵抗成分が存在しないことから電圧波形のたち下がりが遅くなっていますが、今回の主旨である立ち上がり特性を知る上では問題にならないと考えます。

この構成で、電圧波形と電流プローブで電流を計測します。電流プローブは100MHz帯域のものです。

パワーパックはTOMIXのN-600とKATOのスタンダードSXの両方を試してみました。なお、N-600は純正ACアダプタ、スタンダードSXは安定化電源から13.5V(純正ACアダプタと同じ電圧)を供給して動かしています。

N-600使用時の波形

N-600は単純なPWMタイプのパワーパックなので普通に計測しました。スロットルを最小からだんだん上げていき、電流波形がどうなるか観測します。黄色が電圧波形、緑色が電流波形です。










みての通りで、ピークで400mAほど食っていました。とは言え電圧波形も電流波形も立ち上がりがそんなに速くないため、思っていたほどでもないですね。

もう一つ気になったので、フルスロットル状態で方向スイッチをOFFからFWDに入れてみたときの波形が次のものです。時間軸も電流軸も大きく違うので気をつけてください。

こちらも見ての通りで当然のごとく電圧波形の立ち上がりの持続時間が長いことから、ピーク電流も大きくなり1.1Aほど食っています。

スタンダードSX使用時の波形

続いてスタンダードSXです。スタンダードSXは50Hz程度でPWMデューティが上下するという変則的なPWMがかかっており、低スロットル時は下デューティが完全に0になるので上デューティになるタイミングでトリガをかけています。高スロットル時についてはイマイチいい見方がわからなかったので適当に計測しました。






ここまでが低スロットル時。



N-600のときと同様で、最大ピークで400mAほど食っています。どうやら定常状態であればパワーパックの出力回路の制限よりは室内灯のブリッジダイオードや配線抵抗なんかによる制限が大きいようです。

また、N-600のときと同様にフルスロットルで進行方向スイッチをOFFからONに切り替えたときの波形がこれ。

こちらについてはピーク電流が1.4A程度と若干上がりました。これはパワーパックの内部抵抗や、そもそも微妙に電源電圧が高いことが効いているのではないかと思われます。

考察

さて、ということで一両分の室内灯だけで、定常のピークが400mA程度、うっかり操作してしまうと1A以上の電流が流れることがわかりました。当然ながら編成になれば両数分だけ電流が増えることになります。5500形は8両なので、定常で3.2A、うっかり操作で9A近く流れてしまうことになります。もし新幹線や東海道線なんかのフル編成に使ってしまえば15~17両になるのでその倍位になってしまいますね。

で、実際のところこのピーク電流にパワーパックが耐えられるかどうかということですが、他の人の分解記事を参考にすると、N-600に使われているMOSFETは定常ドレイン電流が15A、ピーク60A、スタンダードSXのものは定常10A、ピーク40Aとなっており、一番不安だったMOSFETの特性からすれば問題はなさそうです。

その他の電流を消費するものについてはせいぜいモータくらいで、モータの電流はせいぜい1Aも行かない上に、パワーパックから見れば電流を平滑化する効果もあるため問題にはならないでしょう。

また、ポイントなどの周辺機器についてはスロットル操作の回路とは独立なので、こちらもMOSFETの定格を気にする心配はありません。

あと気になるところといえば、集電状況が悪いレールと車輪で走行させた場合は遅いPWMがかかったのと同等になりますので、方向スイッチを切り替えたのと同様の電流が流れかねないということでしょうか。その場合、車輪や集電機構を1A程度の電流が通ることになるので、ちょっと嫌かも。いや、そもそもそれらを通る段階で抵抗が高くなりそんなに電流は高くならないか。

総括

ということで、まぁこれくらいならええかぁ、という感じでした。正直、各パワーパックの採用しているMOSFETはオーバースペックすぎるんじゃないか?と思っていたのですが、まぁまぁ割りとそんなもんって感じでもありますね。モータドライバICを使わずにパワーパックを自作する場合にはこの辺も考慮してMOSFETを選定したほうがよさそうです。また、電源の平滑コンデンサについてもこの辺に負けない容量が欲しくなりますね。

自分も低スロットルから明るくなる室内灯は作りたいとは思っていたものの、お下品に電流を吸ってしまっていいのか?と思っていたところはあったので、今回のである程度目標が見えたので良かったです。

それにしても他のコンデンサもりもり系室内灯はどうなんでしょうね。誰か提供してくれないかなー

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