2023/12/30

センサレス速度制御モータドライバMD-DC01

 DCブラシ付きモータをセンサレスで速度制御が可能なモータドライブ基板MD-DC01を作りました。

C102にて頒布した同人誌の内容を簡単に実験したり、実用するための基板です。秋月C基板サイズに機能をギュッと押し込みました。コネクタ以外の部品実装済みでC103にて5000円で頒布予定です。こちらも会場で余った場合にはBOOTHにて頒布を考えています。



DCブラシ付きモータは回転すると回転速度に応じた電圧を発生します。これが逆起電力です。この逆起電力を計測することで速度を推定することができるようにした回路構成となっています。

回路図・ファームウェアについてきgithubを参照してください。

https://github.com/strv/MD-DC01/

鉄道模型用コントローラRM-PP03s

 Nゲージを中心にHOでも使える常点灯・低速走行に対応したPCから制御可能なコントローラを作りました。

PCから自動走行制御を行ったり、マスコンコントローラをPCに接続して列車を制御することに利用するのに便利です。

PCとの通信方法は、制御機器向けの汎用プロトコルであるModbus RTUに対応しており、PC側アプリケーションも豊富なライブラリが利用可能で簡単に開発できます。

試作版をC103にて3000円で頒布します。余った場合にはBOOTHにて頒布することも検討しています。

試作版はLEDが暗い、電流計測精度が悪い、等すでに更新予定の内容ができてきているため安価な設定としています。今後、これらを改善した完全版を製造予定で、その場合には改めて紹介したいと思います。




ファームウェアおよび利用方法の詳細はこちら。

https://github.com/strv/RM-PP03

2023/10/06

KATO HOユニトラックの高架化を考える(2)

前回から集中的にHOユニトラックの高架化について取り組んでいます。

前回の最後には3Dプリントで強度出すのはしんどいなー、となって終わったわけですが、紆余曲折がありそもそも3Dプリントじゃ無理!という結論になりました。

というのも、大体の模型を安全に登り降りさせるには勾配を30‰程度に収める必要があると言われているのですが、立体交差できる100mm程度まで高低差を得ようと思うと全長が3.3m必要になるわけで、ユニトラックの標準レールであるS246換算では13.5本必要となります。緩和勾配も考えると15本欲しくなります。これで複線分揃えようと思うと、S246が60本必要でそれだけの数を橋梁パーツも揃えないといけないわけです。仮に単価が500円くらいで作れたとしてもそれだけで3万円となかなかのお値段です。

そんなわけで、現実的に量産しやすい方法に考えをシフトし、MDFのレーザーカットで橋梁をつくり、橋脚は3Dプリントするという方針に切り替えました。

試作一号がこちら。

橋梁は中国のレーザーカットサービスを利用する前提で考え国内ではあんまり流通がないですがMDFは3mm厚のものを選択。先述の通り、最終的にはS246が60本分が必要になるため軽量化を目的に大穴を開けています。そこにレールのズレ止めを複数配置する構成です。

橋脚とは端部の角穴で接続する形にしました。NのKATOやTOMIXのように橋梁同士で連結する構造も考えましたが、なかなかMDF単体では難しいのと、方向性が出てしまうと組み立てるときに不便になると考え、橋梁部品では接続を一切しないものとしました。また、ユニトラックの長さに若干誤差があるため、仮に橋梁部品がかっちり接続できてしまうとその誤差を吸収することができないという懸念もあります。


この試作品の上を手持ちで一番重いはずのTOMIXのEF210を転がしてみるとこんな感じに結構しなってしまうことが判明。お座敷運転で利用すること、レイアウトの自由度を上げることを目的にレールと橋梁は固定していないのですが、それもあって強度が不足しているようです。



そこで橋梁の基本構成を変更し、全長に渡って梁を入れる構成にしました。これで縦方向の強度を得る算段です。また、この構成変更のおかげでパーツ数が3つに押さおることができたので組み立ても楽になる副産物がありました。


実際に車両を乗せても橋梁パーツ部の歪はせいぜい0.5mm程度に収まるようになり、強度としては十分なものを確保できたようです。
当初の3Dプリントで作っていたものと比べるとリアル感は薄れた構造になってしまいましたが、走らせて楽しい、という目的から言えると足回りがずっと見えないのも模型的には面白くないし、なにより60本収納することを考えるとこのくらいでないと運搬が大変ということもあり、今回はこの構成でいくことにしました。

これで試作としてはOKということで拡張を考えることとしました。

これをこの高架モジュールがほしいと声をかけてくれた @setuna_orz さんに見てもらったところ、登り降りでS246が30本分、さらにはその間にトラス橋が入るというレイアウトになり、とてもじゃないけどストレートが長すぎて大変だということになり結局カーブモジュールも作ることに。勾配区間でカーブするとねじりが入るため、車両によってはかなり厳しいんではないか…と想像していたのですが、これがR730程度なら意外と大丈夫そうという肌感から得られたので追加で作ることにしました。

R730とR790の複線仕様を基本と考え、この二種で構成。これらの曲線であればS246よりも弧長が長いことから勾配は直線区間よりもゆるくなり、条件としては優しくなるはずです。
実際、手持ちの車両ではどれも問題なく走行できることがわかりました。
逆にR790は径間が伸びてしまうことが心配でしたが、天賞堂のダイキャスト蒸気を乗せても0.6mm程度しかたわまない構成を作ることができたのでこちらもOKの判断としました。

こうして作った高架モジュールを @setuna_orz さんの主宰する運転会「雪奈會」に持ち込んで実際にレイアウトに組み込んでもらうことにしました。
初日にはカーブ橋梁の数が揃わなかったので、もともと雪奈會で使っていた橋脚パーツを使って180度折り返して直線で登り降りさせていました。写真はどちらも初日のものでその構成です。橋梁パーツは雑に端だけグレーにスプレー塗装し、橋脚はもともとグレーのフィラメントでプリントしたのですが、コレが意外とちゃんとして見えて悪くない印象です。

二日目には橋梁パーツがそろったので180°カーブを勾配で構成するレイアウトに変更。色々な人に色々な車両でテストしてもらいましたが、意外と最近の市販モデルであればプラでもブラスでも問題なくカーブ勾配も登るということがわかりました。
これならもう普通にレイアウトに組み込んでしまっても問題なさそうで、今後の雪奈會のレイアウト自由度が上がりそうです。

今回、かなりいい感じに高架ユニットが構成できたので、もう少し数を作ったり、ポイントレールを載せられるようにしたりと拡張を進めていきたいと思っています。


最後にこの高架区間を通る車両目線の動画を載せておきます。


2023/09/20

TOMIX HO-157 EF510-500を直す

 ヤフオクを巡回していたところ、モータが回る音は聞こえるものの、走行不能というジャンクのTOMIX EF510-500が安く転がっていたので入線させてしまいました。


早速分解してみるとなぜかドライブシャフトがフライホイールから抜けてます。よくよく見ると台車側からドライブシャフトが抜けてしまっています。これじゃたしかにモータが回れども走行はできませんね。反対側も同様の状態でした。


よくよく観察してみると、台車側のウォームギヤについているカップリング部分にヒビが入っています。これが原因でスカスカになってしまって軸から抜けしまっていたようです。↑の写真はクリーニング後のものてすが、分解直後は大量のグリスに埋もれてました。樹脂部品はグリスに侵されて脆くなることがあるので、それが一因かもしれないですね。

シャフトにそのまま差し直してみましたが、当然のごとくゆるゆる。シャフトを荒らして接着することも考えましたが、そうするとオイレスメタルが抜けなくなってしまうことも考えられるため、整備性も考えて却下。単純に接着してみることにしました。最初は模型用透明ゴム系接着剤を使ったところ、あっさり抜けてしまったので、スーパーエックスに切り替えて見たところ、簡単には抜けない程度に接着できました。

モータ直結部分でウォームの手前の駆動部分であるため、そこまで大きなトルクがかかるわけでもないだろうということでこれで良しとしました。

その後、組み上げてお試しで単行運転した感じでは特段問題が見えなかったため一旦これで良しとします。

週末にコキ20両を引かせて勾配走行ができるのでそこで本当の評価ができるんじゃないかと期待。

2023/09/19

秋月C基板用のアクリル板セットを作った

電子工作の定番ショップ、秋月電子では色々な種類のユニバーサル基板が販売されています。その中でも個人的によく利用するのはCサイズの基板です。C基板は程よいサイズ感で好きなんですよね。
このC基板で試作した回路をそのまま活用することも多いのですが、やはり基板むき出しだとショートが怖い… かといってケースに入れるほどでもない… ということはよくあるかと思います。そこで便利なのが底面にネジで固定して使うアクリル板で、秋月公式で販売されています。
されてるんですが… ネジで板を固定しようと思うと、どうしても間にスペーサが必要で、手に入りやすいネジとスペーサだと間が大きくなりがちなのがずっと気になっていました。
そこで、アクリル板と同じサイズで板を使ってスペーサを作ってみました。

保護シートを貼ったままの状態のスペーサと底板です。スペーサの中身はガッツリくり抜いて、ノーマルC基板のランドを完全に避けられるようにしてあります。

保護シートを剥がすとこんな感じ。自分は回路が見えたほうが便利なので透明が好きなのですが、意外と回路を見せたくないという声もあったので黒も作ってみました。

実際に使ってみた様子はこんな感じ。ブレッドボードとかで回路のテストをするときにポテンショを並べるのは大変だし、操作しているうちに外れてしまうことが多々あるので基板に載せたものでした。こういう簡単な治具みたいなのをケースに入れるのは大げさなんですが、テストで使うときってだいたい机があれてて基板裏が保護されてるのはとても安心なのです。

基板端はこんな感じで、スペーサがしっかりランドを避けているのがわかります。

スペーサも底板と同じ2mmで作ったので、ピンヘッダ程度の飛び出し量であればこれで十分対応できます。

TO253パッケージの石や足の長いDIP部品を使ってたりすると厚みが足りなくなりますがスペーサを2枚にして対応できます。

コミケの展示等をするときにも、このアクリル板セットを付けとけば持ち運びも気楽になり、展示中のショートを防ぐこともできて安心です。

割りと良い感じにできたと思うので、BOOTHにて販売することにしました。ぜひぜひお試しください。

2023/09/10

KATO HOユニトラックの固定穴位置

  HOユニトラックの嵩上げの話を続けており、流石にフルで3Dプリントするのは歩留まりがしんどすぎるし、重さもそれなりになってしまうので木材系で橋梁を作る方向で模索中です。

その中で底板部分にユニトラックを固定できるようにするかー、と思っていたのですがなぜか測るごとに寸法が違って見えると思ってました。実は同じ長さのユニトラックでも種類によって固定穴の位置が違う事が発覚したので測ってまとめておくことにします。

工作に必要なものから測ったら適宜追加していこうかと思います。

測り方はどれも端面からの距離で、あくまでも目測も含む形になります。穴径は穴の端っこでの計測になりますが、奥に行くほど細くなっているので基本的にはM2のネジが効きます。

S246

従来品(固定穴非貫通、中央のポケットあり・なし共通、刻印2-150)

- 固定穴
    - 底面とツライチ
    - 穴径 1.9mm
    - 位置 12.5mm, 73.75mm
- オプション穴
    - 底面-1.6mm
    - 穴径 1.4mm
    - 位置 96.5mm, 111.5mm

PC枕木品

- 固定穴
    - 穴径 1.9mm
    - 位置 11.5mm, 72.75mm, 119.0mm(片側のみ)


S369

従来品(刻印2-180)

- 固定穴
    - 穴径 1.9mm
    - 位置 11.5mm, 100.25mm, 184.5mm

PC枕木品

- 固定穴
    - 穴径 2.0mm
    - 位置 11.25mm、49.5mm、95.75mm、180.5mm(片側のみ)

2023/09/02

アルナインのとて簡ロッドディーゼルを作る(1)

 

実は16番のワールド工芸のキットに手を出してしまいまして… 組み立て始めたところで「あ、はんだ付けの技量が足らん」と感じたので、とても簡単に作れることが謳い文句のとて簡シリーズの積みキットがあったのでこれで練習することにしました。

練習ということで、はんだ付け不要キットではあるものの全体的にはんだ付けで組み立てることにします。ついでにディティールアップもいろいろ取り組んでみることにしました。


とて簡は動力は完成済みなんですが、ここもせっかくなので工夫を。ということで中国の加工業者に発注して、極小サイズのフライホイールを作ってみました。正直小さすぎて効果あるのか分からなかったんですがやってみたかったというのが一番大きいところ。

実際に取り付けてみると、印加電圧3Vで走行させたときに空走距離が5mmくらい伸びた気がします。フライホイールも小さいですがモータも小さいので元々のイナーシャも小さく、こんなんでも効果あるみたいです。空走距離が5mm伸びればポイントの絶縁部分を乗り越えやすくなるし十分嬉しい効果ですね。


台枠を仮組みしたところでオプションのマグネマティックカプラを取り付けて確認してみたところ。高さもバッチリですね。こっちのほうが車内空間確保できそうだったのでモータの向きは取説と逆にしてます。

ただこれもオプションの警戒色のスカートを取り付けてある関係でめちゃくちゃ組み立てるのが難しいです…

まぁ難しいけどできないわけではないので良いことにしましょう。


このへんまで組んだところで欲が出てきてよりディティールアップしてみることにしました。スカートの裏を見ると意味深な穴ガイドが五箇所。一つは入換表示灯、四つは解放てこステーの位置にあったのでそれぞれ付けてみることにしました。入換表示灯にはトレジャータウンのテールライトを使ってみました。

解放てこはステーを真鍮帯板をカットして作り、可動できるようにしてみたかったのでてこ本体はピアノ線を曲げて作ってみました。はんだ付けせずにステーに開けた穴に通してあるだけになっています。すべて取り付けた段階でステーの一つのねじり方向が逆だったことに気が付きましたが、流石に取り付けをやり直す元気はなかったし、ほぼ目立たないので目をつむることにしました。

これだけで割りと情報量が増えていい感じになりますね。

そのままの勢いで上回りまで組み立て。角には半田を流し、隙間が見えないように塞ぎ、やすりで整えてます。また、キャブ側にもスカート同様にドリルガイドが至る所に用意されていたので手すりやドアハンドルを真鍮線から切り出して作ってみました。

ヘッドライトは点灯化しようと思っているので、ここでは取り付けずに塗装後に光ファイバーとともに取り付ける想定です。

まだまだ気になるところはあるものの、いつまでもこねくり回してると完成しない未来が見えてるのでさっさと塗装に移ってしまいます。

今回はプライマーとしてミッチャクロンの缶スプレーを使ってみました。缶スプレーですが霧が細かくてディティールが潰れることもなさそうで割りと良さそうです。

サーフェイサーは手持ちの在庫の都合でタミヤの缶タイプを使いました。

そのまま本体色まで塗装。ネットで検索して似てそうな個体の塗色を参考に橙色にしてみました。割と古い在庫の鉄道カラーを開けたところ、かなりドロドロになっていてめちゃくちゃに希釈したんですが、そのせいか結構な梨地というか完全につや消しになってしまいました。個人的にはテカった塗装がヤれてきたほうが好みなので後でトップコートすることにします。

台枠は鉄道カラーの台車ブラックにしました。参考にした個体はエッジだけボディ色が乗っているようだったのでマスキングして再現してみました。

とりあえず今回はここまで。しっかり乾燥させてから電飾関係を実装して組み立てるようにしたいと思います。

センサレス速度制御モータドライバMD-DC01

 DCブラシ付きモータをセンサレスで速度制御が可能なモータドライブ基板MD-DC01を作りました。 C102にて頒布した同人誌の内容を簡単に実験したり、実用するための基板です。秋月C基板サイズに機能をギュッと押し込みました。コネクタ以外の部品実装済みでC103にて5000円で頒布...